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2020年8月13日木曜日

Bob Dylan - Joey

こんばんは、古い音楽をお届けする音楽文章ラジオのお時間がやって参りました。進行は、名久井翔太です。どうぞよろしく。

早速、今日のボブ・ディランのコーナーです。

今日のボブ・ディラン

8月13日(木)



~If tomorrow wasn’t such a long time
Then lonesome would mean nothing to you at all~

~明日がこんなにも遠くなかったら
孤独なんてどうってことはないはず~

「Tomorrow is a long time」より

今日の洋楽

今日はボブ・ディランでジョーイーです。




ボブ・ディラン、ジャック・レヴィ作曲です。1975年のアルバム『欲望』収録曲です。アルバム中一番長い曲です。11分もあるんですよ。

ジョーイーとは、実在したニューヨークの殺し屋ジョセフ・ギャロの事です。今回の歌は、ジョセフ・ギャロをテーマにして追悼歌として仕上げています。

1929年4月7日、ブルックリンで生まれました。1950年代、ニューヨークマフィアの五代ファミリーの一つに数えられていたプロファチ一家に入り、ナンバーズ賭博や麻薬等で稼ぎつつ、殺しを行っていました。ギャロの友人アバトマルコが組織への上納金約5万ドルを滞納して、組織の命令でアバトマルコを殺しますが、組織の大部分を引き継ぐ約束が無視されたため、プロファチ一家に対して反乱を起こします。

1971年に釈放されると、ハーレムの黒人や暴走族のヘルス・エンジェルスと結託して、プロファチをついたコロンボ一家に闘争をしかけます。そして1972年4月7日、ウンベルト・クラム・ハウス家族と43歳の誕生日を祝っている所に銃撃にあいました。家族を逃したものの、5発の銃弾がジョーイーの体に直撃し、よろめきながら店を出た所で絶命しました。

では和訳です。今日は長いですよ。

Born in Red Hook Brooklyn in the year of who knows when

Opened up his eyes to the tune of an accordion

Always on the outside whatever side there was

When they asked him why it had to be that way "Well" he answered "just because".


その昔、ブルックリンのレッド・フックにて生を受けた。

アコーディオンの音色でその目を開けた。

いつも仲間外れ、自分で仲間から外れたのさ。

「何でいつもそうなんだ」と聞かれると、「うーん、何となくさ」と答えるんだ。


Larry was the oldest Joey was next to last

They called Joe "Crazy" the baby they called "Kid Blast"

Some say they lived off gambling and running numbers too

It always seemed they got caught between the mob and the men in blue.


ラリーは最年長、ジョーイーは下から2番目だった。

みんなはジョーを「クレイジーな奴」だと呼んだ、「つむじ風小僧」とも呼んだ。

誰かが言った、ギャンブルやナンバーズ賭博で生計を立てていた、と。

いつも暴徒と警官の目の間の中掻い潜って生きていたのさ。


Joey, Joey

King of the streets child of clay

Joey, Joey

What made them want to come and blow you away.


ジョーイー、ジョーイー、

裏道の王にして、泥だらけの少年。

ジョーイー、ジョーイー、

どうして奴らが来てお前の命を奪ったんだ。


There was talk they killed their rivals but the truth was far from that

No one ever knew for sure where they were really at

When they tried to strangle Larry, Joey almost hit the roof

He went out that night to seek revenge thinking he was bulletproof.


奴らのライバルを殺したという噂が流れたが、真実は違った。

みんな、それが本当か知らなかった。

奴らがラリーを絞めあげようと知った時、ジョーイーは激怒した。

自分自身を銃弾と決め、報復の機会を伺う為あの夜に躍り出た。


The war broke out at the break of dawn it emptied out the streets

Joey and his brothers suffered terrible defeats

Till they ventured out behind the lines and took five prisoners

They stashed them away in a basement called them amateurs.


そして誰もいない通りで、抗争は火蓋を切って落とされた。

ジョーイーとその兄弟は、手痛い敗北を味わった。

そいつらは抗争後に5人の人質を取り、

素人どもと呼んだ人質を地下牢に放り込んだ。


The hostages were trembling when they heard a man exclaim

"Let's blow this place to kingdom come let Con Edison take the blame"

But Joey stepped up, and he raised his hand and said, "We're not those kind of men

It's peace and quiet that we need to go back to work again".


人質は恐怖に震え、1人が叫んだ、

「この場所を天国にして爆破しちまおう、エディソンが責められるようにしよう。」

そしてジョーイーが歩いて来て手を上げて言った。「俺たちはそんな事はしない、

平穏無事に日常に戻れりゃそれで充分だ。」


Joey, Joey

King of the streets child of clay

Joey, Joey

What made them want to come and blow you away.


ジョーイー、ジョーイー、

裏道の王にして、泥だらけの少年。

ジョーイー、ジョーイー、

どうして奴らが来てお前の命を奪ったんだ。


The police department hounded him, they called him Mr. Smith

They got him on conspiracy, they were never sure who with

"What time is it" said the judge to Joey when they met

"Five to ten" said Joey. The judge says, "That's exactly what you get".


警察がやって来てジョーイーを逮捕した、奴はスミスと呼ばれた。

ジョーイーに共謀の容疑がかけられたが、誰が共犯者なのか知る由も無かった。

「今何時だ?」と判事がジョーイーに会うなり尋ねた。

105分前です。」とジョーイーが答えた。そして判事は言った「5年から10年、それが君の刑期だ。」と。


He did ten years in Attica, reading Nietzche and Wilhelm Reich

They threw him in the hole one time for trying to stop a strike

His closest friends were black men 'cause they seemed to understand

What it's like to be in society with a shackle on your hand.


アッティカで10年居て、ニーチェとヴィルヘルム・ライヒの本を読んだ。

暴動を止める為に、奴らはジョーイーを敵陣に放り込んだ。

奴の一番近しい友人は黒人たちだった、理解しているようだった、

手枷をはめられながら社会に生きる事はどんな感じかを。


When they let him out in '71 he'd lost a little weight

But he dressed like Jimmy Cagney and I swear he did look great

He tried to find the way back into the life he left behind

To the boss he said, "I've returned and now I want what's mine".


71年に釈放されると、奴は少し痩せたようだった。

だがその時奴はジミー・キャグニーのようにオシャレで、決まってたと思う。

昔の日常に戻れる方法を探していたんだ、

そしてボスに向かって言い放った、「さあ、戻って来たぞ、俺の物を返してもらおうか。」


Joey, Joey

King of the streets child of clay

Joey, Joey

What made them want to come and blow you away.


ジョーイー、ジョーイー、

裏道の王にして、泥だらけの少年。

ジョーイー、ジョーイー、

どうして奴らが来てお前の命を奪ったんだ。


It was true that in his later years he would not carry a gun

"I'm around too many children", he'd say, "they should never know of one"

Yet he walked right into the clubhouse of his lifelong deadly foe

Emptied out his register, said, "Tell 'em it was Crazy Joe".


晩年に奴は銃を持ち歩かなかった事は本当だ。

「あまりにも沢山の子供達に囲まれているからな」そして続けた、「こんな事は見せちゃならない。」と。

そして生涯の仇のクラブハウスに乗り込み、

レジの金を全て盗みこう言った、「クレイジー・ジョーの仕業だと言え。」と。


One day they blew him down in a clam bar in New York

He could see it coming through the doors as he lifted up his fork

He pushed the table over to protect his family

Then he staggered out into the streets of Little Italy.


ニューヨークのクラムバーで、ジョーイーが殺された日のこと。

フォークを口に運ぶ時に、敵の姿が見えた。

自分の家族を守る為にテーブルを盾にして、

リトルイタリーの通りに逃げ込んだ。


Joey, Joey

King of the streets child of clay

Joey, Joey

What made them want to come and blow you away.


ジョーイー、ジョーイー、

裏道の王にして、泥だらけの少年。

ジョーイー、ジョーイー、

どうして奴らが来てお前の命を奪ったんだ。


Sister Jacqueline and Carmela and mother Mary all did weep

I heard his best friend Frankie say, "He ain't dead he's just asleep"

Then I saw the old man's limousine head back towards the grave

I guess he had to say one last goodbye to the son that he could not save.


ジャケリーンとカーミラ姉妹、そして母のメアリーは悲しみに暮れた。

奴の一番の親友フランキーが言った、「あいつは死んじゃいない、ただ眠ってるだけだ。」

そして俺は、老人が乗ったリムジンが墓場に向かうのを見たんだ。

その命を救えなかった息子に最後の別れを告げに行くんだろうな、と思った。


The sun turned cold over President Street and the town of the Brooklyn mourned

They said a mass in the old church near the house where he was born

And someday if God's in heaven overlooking his preserve

I know the men that shot him down will get what they deserve.


プレジデント・ストリートは日が沈んで涼しくなり、町中が喪に服した。

奴が生まれた家の近くの教会、そこで葬儀は執り行われた。

いつか、天国にいる神様が守って下さるなら、

ジョーイーを殺した奴らには必ず天罰が下るだろう。


Joey, Joey

King of the streets child of clay

Joey, Joey

What made them want to come and blow you away.


ジョーイー、ジョーイー、

裏道の王にして、泥だらけの少年。

ジョーイー、ジョーイー、

どうして奴らが来てお前の命を奪ったんだ。


こんな感じです。

今日はこの辺でお時間です。洋楽和訳のリクエスト・感想ございましたらコメントくださいませ。

ではまた。

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