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2023年6月11日日曜日

Big Bill Broonzy - Black, brown and white

こんばんは、古い音楽をお届けする音楽文章ラジオのお時間がやって参りました。進行は、名久井翔太です。どうぞよろしく。

早速、今日の洋楽和訳のコーナーです。

今日の洋楽

今日はビッグ・ビル・ブルーンジーでブラック・ブラウン・アンド・ホワイトです。1945年に録音されました。



ビッグ・ビル・ブルーンジーこと、リー・コンリー・ブラッドリー(Lee Conley Bradley)は、1903年6月26日(1893年、1898年生まれ説有り)、ミシシッピ州スコット郡生まれのブルースミュージシャンです。

それまでアコギが主体だったブルースにエレキギターを持ち込んで、さらにバンドスタイルで演奏を始めた最初の一人とされています。生涯で300曲衣装を作り、ブルースを主体として、ラグタイムやフォーク等を取り入れ、さらにギターの腕前も高く、マディ・ウォーターズ等多くのミュージシャンに影響を与えました。

10歳の時、箱からフィドル(バイオリン)を作り、最初はフィドル奏者として地元の教会で演奏をしていました。まだ10代の時に結婚して、一時期は音楽から離れて農業に勤しんでいましたが、後にシカゴに移り住みます。1924年にパパ・チャーリー・ジャクソンと出会い、ギターを教わりました。1927年にシングル「ビッグ・ビル・ブルース」でソロデビューを果たします。

1936年にバンド「ビッグ・ビル&シカゴ・ファイヴ」を結成し、活動を続けます。1950年代にはヨーロッパで録音、さらにツアーを敢行し、イギリスで紹介された事で知名度を上げます。

ツアーの連続で体調を崩して、1957年には医者から癌と診断され、肺を一つ切除する手術を行うなど体調が悪化しました。そして喉にも癌が見つかり、1958年にはビッグ・ビルの喉の手術の為に慈善コンサートが行われました。

1958年8月14日(8月15日説有り)、自宅から救急車に運ばれている最中に咽頭癌で亡くなりました。

今回の歌は、現代にも通ずる問題を歌った歌です。白人は優遇されるのに黒人には全く見向きもされず追い出される、という現状を歌っています。

歌詞に出てくる「ジム・クロウ」とは、「ジム・クロウ法」の事で、黒人の公共施設の禁止や制限に関する法律で、アラバマ州やミシシッピ州など、主にアメリカ南部に広まっていた制度です。例えば、バス乗り場の待合所が白人と黒人で違ったり、レストランの入口が人種毎に違ったり、白人と黒人の結婚が禁止されていたりと、施行された州毎にルールが存在していました。

アフリカ系黒人だけではなく、黒人の血が混合している者、さらには日系人やアジア人等の有色人種も対象に選ばれていました。

アメリカ南部では農業における労働力は黒人が絶対的存在とされ、白人と同等の立場では困る等の理由でジム・クロウ法が蔓延っていました。1945年に公民権運動が高まり、ジム・クロウ法の裁判が幾度となく行われた結果、1964年に南部各州で廃止されました。

人種差別は今も根強い問題です。人種で何が違うというんでしょうか。人の命は平等である、という事に何の変わりも無いのにね。

では和訳です。

This little song that I'm singin' about

People you know it's true

If you're black and gotta work for a living

This is what they will say to you


俺が歌ってるこの歌は、

真実だって分かってるだろ。

あんたが黒人で働きに出なきゃならんなら、

みんなあんたにこう言うんだ。


They says if you was white, should be all right

If you was brown, stick around

But as you's black, m-mm brother, git back git back git back


白人なら大歓迎だ、

褐色ならまあ良いだろう。

黒人か?

お前は帰れ、とな。


I was in a place one night

They was all having fun

They was all buyin' beer and wine

But they would not sell me none


ある夜酒場に居たんだ、

みんな楽しい時間を過ごしてた、

ビールやワインを売っていたが、

俺には何にも売っちゃくれなかった。


They said if you was white, should be all right

If you was brown, stick around

As you black, m-mm brother, git back git back git back


白人の方なら喜んでお売り致します。

褐色の人ああ、どうぞ。

黒人だとお前には何にも売らねえよ、出てけ。


I went to an employment office

Got a number 'n' I got in line

They called everybody's number

But they never did call mine


職業安定所に行ったある日、

番号を持って列に並んだ。

他のみんなは番号を呼ばれたのに、

俺の番号は呼ばれなかったんだ。


They said if you was white, should be all right

If you was brown, could stick around

But as you black, m-mm brother, git back git back git back


白人の方なら仕事ございますよ。

褐色の人ああ、仕事ならあるよ。

黒人だと仕事なんぞねえ、帰れ。


Me and a man was workin' side by side

This is what it meant

They was paying him a dollar an hour

And they was paying me fifty cent


俺とあいつは一緒に働いてた。

これが意味していた事なんだ。

あいつは1時間働いてドル札を貰ったのに、

俺には50セントしか無かったんだ。


They said if you was white, 't should be all right

If you was brown, could stick around

But as you black, m-mm boy, git back git back git back


あんたが白人なら何の問題も無いだろう、

褐色でも、まあ大丈夫だろう。

でもあんたが黒人なら、早いとこ帰った方が良い。


I helped build this country, 

And I fought for it too, 

Now I guess that you can see, 

What a black man have to do.


この国を建てるのに手を貸した、

戦ったりもしたさ。

もう分かるだろ、

黒人がすべき事を。


Now if you was white, should be all right

If you was brown, stick around

But as you black, whoa brother, git back git back git back


白人なら問題も無いだろう。

褐色でも、多分大丈夫だろう。

でも黒人だったら、戻った方が良いな。


I hope when sweet victory

With my little plough and hoe

Now I want you to tell me brother

What you gonna do about the old Jim Crow?


この鋤と鍬で、

甘い勝利を願ってる。

なあ、教えてくれよ、兄弟、

ジムクロウ法についてどうするつもりなんだ?


Now if you was white, should be all right

If you was brown, could stick around

But if you black, whoa brother, git back git back git back


白人なら問題も無いだろう。

褐色でも、多分大丈夫だろう。

でも黒人だったら、帰った方が良いぜって言われるぜ。


こんな感じです。

今日はこの辺でお時間です。洋楽和訳のリクエスト・感想ございましたらコメントくださいませ。

ではまた。

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