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2016年3月12日土曜日

Bill Haley - Rock this joint

こんばんは、古い音楽をお届けする音楽文章ラジオのお時間がやって参りました。進行は、酒が回って前半で書く事が決まってない名久井翔太です。どうぞよろしく。

…と言うのは冗談で。

今日はロックンロールを形づけた曲、というテーマで書いてみたいと思います。

ロックンロールというのはカントリーやリズム・アンド・ブルースなどが融合して、1950年代中盤に急激に流行り始めた音楽でございますが。

実はそれ以前にも実験作として、というのは後付けですが、認知されている曲というのがあります。

ここからは、私が聴いたという縛りで何個か上げてみたいと思います。

Uncle Dave Macon and His Fruit Jar Drinkers - Sail away, ladies (1927)

アンクル・デイヴ・メイコンという50代でグランド・オール・オープリーに出始めたシルクハット、金歯、そしてバンジョーを携えたボードビリアンの人です。(1870-1952)

このセイル・アウェイ・レイディーズは、後にDon't you rock me, Daddy-Oというタイトルでロニー・ドネガンやヴァイパーズ・スキッフル・グループがリメイクします。


Big Joe Turner with Pete Johnson - Roll 'em Pete (1938)

ビッグ・ジョー・ターナー(1911-1985)は1954年にシェイク・ラトル・アンド・ロールでスマッシュヒットを出して、沢山の人達にカバーされていますが、実はそれ以前にも実験作として認知されている曲がありました。

このロール・エム・ピートは1938年のジョー・ターナーのデビューシングルです。ピートというのはピート・ジョンソンという当時ジョー・ターナーの相方だったピアニストです。

ロックンロールというよりはブギウギスタイルな感じですが、その後のジョー・ターナーのスタイルを担うものとしては重要な作品とも言えます。


Louis Jordan and His Tympany Five - Caldonia (1945)

ルイ・ジョーダン(1908-1975)という黒人のサクソフォン奏者の人の曲です。

ロックンロールは基本3コードの曲が多いですが、ロックンロール以前のこの曲や、Choo Choo Ch' Boogieとかも3コードで構成されています。

そればかりか、Ain't that just like a womanのイントロのギターソロ。チャック・ベリーのジョニー・B・グッドのイントロのリフはこの曲から来ています。


Good Rockin' Tonight - Roy Brown (1946)

ロイ・ブラウン(1925-1981)というブルースシンガーの曲です。このあたりになると、というそれ以前からそうですな、曲名にはっきりとRockとつけるものが多くなります。

1954年にエルヴィスが激しいボーカルでカバーしています。


…この辺にしときましょう。でないときりが無いので。

そんな訳でロックンロールは長年温められて1950年代中盤にブームを巻き起こした音楽、という事を微量ながらお話させていただきました。

さて、またまた長話になりますが、後半の洋楽和訳のコーナーです。

今日の洋楽

今日はビル・ヘイリーでロック・ディス・ジョイントという歌です。


元はジミー・プレストン・アンド・ヒズ・プレストニアンズというバンドの曲ですが、1952年、ビル・ヘイリーの地元のレコード会社、エセックス・レコードにて録音されました。

最初の間奏のギターソロ、ロック・アラウンド・ザ・クロックでも使われたリフですが、ダニー・セドローンというギタリストがこのギターソロを聴かせています。

では和訳です。

We're gonna tear down the mailbox, rip up the floor
Smash out the windows and knock down the door

俺たちゃ、郵便受けを壊して床を引き剥がす。
窓ガラスも割ってドアも外してやるんだ。

We're gonna rock, rock this joint
We're gonna rock, rock this joint
We're gonna rock, rock this joint
We're gonna rock, rock this joint tonight 

俺たちゃこの酒場で暴れるんだ。
俺たちゃ夜通し酒場で大暴れさ。

Well, six times six is thirty-six
I ain't gonna hit but six more licks

6×6は36。
でもリックは6個だけで充分さ。

We're gonna rock, rock this joint
We're gonna rock, rock this joint
We're gonna rock, rock this joint
We're gonna rock, rock this joint tonight 

俺たちゃこの酒場で暴れるんだ。
俺たちゃ夜通し酒場で大暴れさ。

Do the sugar foot rag, side by side
Flying low and flying wide

シュガーフット・ラグを踊るんだ、俺と一緒に。
低く飛んだり広く飛ぶんだ。

We're gonna rock, rock this joint
We're gonna rock, rock this joint
We're gonna rock, rock this joint
We're gonna rock, rock this joint tonight 

俺たちゃこの酒場で暴れるんだ。
俺たちゃ夜通し酒場で大暴れさ。

Do the ol' Paul Jones and the Virginia Reel
Just let your feet know how you feel

オール・ポール・ジョーンズやヴァージニア・リールを踊るんだ。
お前の感じるままに足を動かすんだ。

We're gonna rock, rock this joint
We're gonna rock, rock this joint
We're gonna rock, rock this joint
We're gonna rock, rock this joint tonight 

俺たちゃこの酒場で暴れるんだ。
俺たちゃ夜通し酒場で大暴れさ。

Well, six times six is thirty-six
I ain't gonna hit more six more licks

6×6は36。
そんなにリックなんて必要ないぜ。

We're gonna rock, rock this joint
We're gonna rock, rock this joint
We're gonna rock, rock this joint
We're gonna rock, rock this joint tonight 

俺たちゃこの酒場で暴れるんだ。
俺たちゃ夜通し酒場で大暴れさ。

こんな感じです。

酒場で踊って暴れてドンジャラホイ、という感じの歌です。

この辺でお時間、としましょう。次は日曜日にお会いしたいと思います。

ではまた。あー疲れた。

2016年3月9日水曜日

Roy Orbison - Evergreen

こんばんは、古い音楽をお届けする音楽文章ラジオのお時間がやって参りました。進行は、まだ冬だと思っていたらもう春だった名久井翔太です。

もう早いもので2016年も3月ですよ。月曜日仕事の帰りに知人と帰ったんですが、その時に「もう春だね」という話が出て、そうかもう春か、とようやく気付きました。

いやはや、時代の流れに全くついていけてない、ガラパゴス型の人間にすっかりなってしまいました。

では後半の洋楽和訳コーナーへ移ります。

今日の洋楽

今日はロイ・オービソンでエヴァーグリーンという曲です。


1962年にシングルカットされた曲です。ロイの曲の中ではヒットせず、知名度もこれといって無いですが、私は結構好きです。実にロイらしい伸びやかな曲だと思います。

では和訳です。

Sometimes love will bloom in the springtime 
Then like flowers in summer it will grow 
And then fade away in the winter 
When the cold winds begin to blow 

時に、愛は春に芽生え、
夏には花のように育つ。
しかし寒風が吹き始める時に、
冬には枯れ果ててしまう。

But when it's evergreen, evergreen 
It will last through the summer and winter too 
When love is evergreen, evergreen 
Like my love for you 

しかし、その愛が常緑樹であるなら、
夏や冬さえも強く育ち続ける。
私のあなたへの愛のように、
その愛が常緑樹であるなら。

So hold my hand and tell me 
You'll be mine through laughter or through tears 
Then let the whole world see, our love will be 
Evergreen through all the years 

私の手を取って言って欲しい。
笑いや涙の時を経て、あなたは私のものになる。
そして世界に知らせてやろう、
私たちの愛は永遠なるものだ、と。

For when it's evergreen, evergreen 
It will last through the summer and winter too 
When love is evergreen, evergreen 
Like my love for you

しかし、その愛が常緑樹であるなら、
夏や冬さえも強く育ち続ける。
私のあなたへの愛のように、
その愛が常緑樹であるなら。

こんな感じです。

Evergreen というのは、和訳にも出ましたが常緑樹(じょうりょくじゅ、常磐木:ときわぎとも呼ぶ)、つまり年中、緑の葉をつける植物の事を指します。決して枯れない、という事でもなく、葉っぱの寿命が総じて長い植物です。

君と私の愛はこの常磐木のように枯れることはない、という歌です。何ともロマンチック。どうしてこの曲が世に出ないのかが不思議でなりません。

短いですが、この辺でお別れとしましょう。次は土曜日の更新です。

ではまた。

2016年3月6日日曜日

Hank Williams - Lovesick blues

こんばんは、古い音楽をお届けする音楽文章ラジオのお時間がやってまいりました。進行は、百円ショップにお使いに行ったらすりこぎ棒があってすり鉢が無くて「なんでやねん」と思った名久井翔太です。どうぞよろしく。

すり鉢とすりこぎ棒は普通セットで置いておくものでしょう。なしてすりこぎ棒だけ…?小さくても良いからすり鉢置いておいてほしい、と思いました。

さて、下らない話はそのぐらいにして、今日の洋楽和訳…の前に、ロックンロールの原点とは。みたいな話をしたいと思います。

まず、ロックンロールてなんぞや?となりますよね。Wikipediaから借用しておりますことをご了承ください。

『ロックンロールの音楽的特徴としては、リズム・アンド・ブルースのほぼ均等なエイト・ビートや、ブルース・ジャズのシャッフル/スイングしたビート、ブルースのコード進行や音階(スケール)を応用した楽曲構成を挙げることができる。それらを基に、カントリー・アンド・ウェスタンを体得した白人ミュージシャンが、双方のスタイルを混じり合わせた音楽であるとされる。』

とあります。

コード進行や音階、スイングなどの詳しい話はすっ飛ばして、原点の音楽について掘り進めてみたいと思います。

まず、出てきたのがリズム・アンド・ブルース。次もWikipedia借用でございます。

『スイング感のあるリズムとビートに乗りながら、叫ぶように歌う。』

元は黒人音楽のジャズやゴスペルという音楽から、更にポピュラー化されたものだという認識を私は持っています。ルイ・ジョーダンとかロイ・ブラウンという人たちが当てはまると思います。ルイ・ジョーダンなんかCaldoniaという曲で叫んでますからね。

続いて、ここが今日の肝、カントリー・アンド・ウェスタンについてです。これもWikipedia借用です。

『ヨーロッパの伝統的な民謡やケルト音楽などが、スピリチュアルやゴスペルなど霊歌・賛美歌の影響を受けて1930年代に成立した。』

『ルーツとしては、フォークミュージック、南西部ウェスタンミュージック、ケルト音楽のフィドルの旋律、カウボーイソング、などが挙げられる』

と、あります。

伝統的な民謡がアメリカに渡って、山の付近に住んでいた人たちがギターとかバイオリンとかを使い始めて、カントリー・ミュージックというものの原点が生まれた、と考えられます。

ただ、カントリーについては、最近はテイラー・スウィフトとかキャリー・アンダーウッドとかの曲をチラッと聴いたんですが、とても私の考えるカントリー・ミュージックでは無いほど進化を遂げています。

そんな訳で、今日はカントリーの立役者、ハンク・ウィリアムズの曲を和訳したいと思います。

今日の洋楽

僕がハンクを知った時は高校生、ロックの殿堂でハンク・ウィリアムズの名前を知って、ブックオフでCDも買ってさあWikipediaを見ようと思ったら、日本語のページが無かったんです。まだその頃はエヴァリー・ブラザーズもカール・パーキンスも日本語のWikipediaのページがありませんでしたからね。

1923年1月1日、日本では大正11年の年明けにオギャーと産声を上げました。

ルーファス・ペインという黒人のブルースミュージシャンにギターの手ほどきを受け、ラジオ局の前で弾き語りをしていたところ、1937年、なんと14歳にして15分のラジオ番組の司会を任されます。

ミュージシャンとしても、ドリフティング・カウボーイズを従えて1947年、スターリングというレーベルから「Never again」という歌でデビューしますが、ヒットが出ませんでした。同年にMGMレコードに移籍、「Move it on over」という歌で再デビュー、カントリーチャートで4位を記録します。

1949年に「Lovesick blues」(今日はこの曲の和訳です。)をカントリーチャートの1位に送り込むと、それまでオーディションをしても断られた『グランド・オール・オープリー』というアメリカ最古のテレビ番組にも出演し、一躍人気スターになります。

ただ、ハンク自身は脊椎の形成不全による二分脊椎症という病気が原因で、常に背中に痛みが走るのに悩まされて、薬物やアルコールで痛みを間際らします。これが原因で、番組を解雇されたり、ドリフティング・カウボーイズや最初の奥さんに逃げられたりして、最期まで公私共に不遇の時代を過ごしました。

そして、1953年1月1日、コンサートに向かう途中の車で絶命します。死因は摂取した抱水クロラールとアルコールの多量摂取が原因の心臓右心室の機能不全でした。飲み合わせが悪い事を危惧した医者が、ビタミンB12の注射を2本打ちましたが、その中に微量のモルヒネが含まれていました。

生前、A面B面合わせて9曲をカントリーチャートの1位に送り込みました。

さて、ハンクの生涯を話したところでようやく和訳に移ります。

このラヴシック・ブルースという曲はエメット・ミラーという人が最初に出したシングルです。私はこの曲の存在をハンクのカバーで知りました。

では和訳です。ここまで長かったですね。

I got a feelin' called the blues, oh Lord
Since my baby said goodbye
Lord I don't know what I'll do
All I do is sit and sigh, oh Lord

俺はすっかりブルースになっちまった。
あの娘が行ってからというもの、
俺は何をすべきか分からない。
俺はただ座って泣いてるだけさ。

That last long day she said goodbye
Well lord I thought I would cry
She'll do me, she'll do you
She's got that kind of lovin'

あの日あの娘がサヨナラしてから、
俺は泣きそうになった。
あの娘は俺やお前を愛する、
それが彼女のやり方なんだ。

Lord I love to hear her when she calls me sweet da-a-addy
Such a beautiful dream
I hate to think it's all over
I've lost my heart it seems

俺はあの娘が「素敵なアナタ」って俺に言うのを聞きたいんだ。
なんと素敵な夢だったんだろう。
もう終わりだなんて思いたくない。
俺の心はもうボロボロなんだ。

I've grown so used to you somehow
Well I'm nobody's sugar daddy now
And I'm lo-o-onesome
I got the lovesick blues

俺はすっかり君仕様になっちまった。
俺はもう誰の男でもない。 
俺は寂しい、
ラブシック・ブルースにかかっちまった。

Well I'm in love I'm in love with a beautiful gal
That's what's the matter with me
Well I'm in love I'm in love with a beautiful gal
But she don't care about me

俺は可愛いあの娘にすっかり首ったけ、
それが俺の問題なんだ。
あの娘にすっかり参っちまった。
でも彼女は俺の事なんか気にしちゃいない。

Lord I tried and tried, to keep her satisfied
But she just wouldn't stay
So now that she is leavin'
This is all I can say

俺は何でもしたさ、彼女を喜ばすために。
でも彼女は俺の側にいてくれない。
そしてあの娘は行っちまった。
俺が言えるのはそれだけさ。

I got a feelin' called the blues, oh Lord
Since my baby said goodbye
Lord I don't know what I'll do
All I do is sit and sigh, oh Lord

俺はすっかりブルースになっちまった。
あの娘が行ってからというもの、
俺は何をすべきか分からない。
俺はただ座って泣いてるだけさ。

That last long day she said goodbye
Well lord I thought I would cry
She'll do me, she'll do you
She's got that kind of lovin'

あの日あの娘がサヨナラしてから、
俺は泣きそうになった。
あの娘は俺やお前を愛する、
それが彼女のやり方なんだ。

Lord I love to hear her when she calls me sweet da-a-addy
Such a beautiful dream
I hate to think it's all over
I've lost my heart it seems

俺はあの娘が「素敵なアナタ」って俺に言うのを聞きたいんだ。
なんと素敵な夢だったんだろう。
もう終わりだなんて思いたくない。
俺の心はもうボロボロなんだ。

I've grown so used to you somehow
Well I'm nobody's sugar daddy now
And I'm lo-o-onesome
I got the lovesick blues

俺はすっかり君仕様になっちまった。
俺はもう誰の男でもない。 
俺は寂しい、
ラブシック・ブルースにかかっちまった。

こんな感じです。

去っていったあの娘が恋しくて寂しすぎる男の歌です。

久々に長文になりましたね。お時間が来たようです。次は水曜日、だいたいこの時間にお逢いしたいと思います。

ではまた。