ページ

2023年5月18日木曜日

Procol Harum - A whiter shade of pale

こんばんは、古い音楽をお届けする音楽文章ラジオのお時間がやって参りました。進行は、名久井翔太です。どうぞよろしく。

今日からしばらくこのブログお初のアーティスト・グループが続きます。

今まで取り上げてなかったの、と驚く事もあると思います。乞うご期待。

では、今日の洋楽和訳のコーナーです。

今日の洋楽

今日はプロコル・ハルムで「青い影」です。



ゲイリー・ブルッカー、マシュー・フィッシャー作曲、キース・リード作詞です。1967年のシングルで、イギリスのチャートで1位を記録しました。

プロコル・ハルムはイギリスのプログレシヴ・ロック・バンドです。

メンバーは以下の通りです。

最初期
•ゲイリー・ブルッカー (Gary Brooker, v, p, 1945.5.29-2022.2.19)
•マシュー・フィッシャー (Matthew Charles Fisher, v, o, 1946.3.7-)
•レイ・ロイヤー (Ray Royer, g, 1945.10.8-)
•デヴィッド・ナイツ (David John Knights, b, 1945.6.28-)
•ボビー・ハリソン (Robert Leslie Harrison, d, 1939.6.22-2022.1.7)
•キース・リード (Keith Stuart Brian Reid, lyrics, 1946.10.19-2023.3.23)

後に加入
•ロビン・トロワー (Robin Leonard Trower, v, g, 1945.3.9-)
•B. J. ウィルソン (Barrie James Wilson, d, 1947.3.18-1990.10.8)
•クリス・コッピング (Christopher John Copping, b, o, g, 1945.8.29-)
•デイヴ・ボール (David J. Ball, g, 1950.3.30-2015.4.1)
•アラン・カートライト (Alan George Cartwright, b, 1945.10.10-2021.3.4)
•ミック・グラバム (Michael Grabham, g, 1948.1.22-)
•ピーター・ソリー (Peter Solley, o, 1948.10.19-)
他多数

前身は1959年に結成したR&Bバンドのザ・パラマウンツです。ゲイリー・ブルッカーロビン・トロワーB. J. ウィルソンクリス・コッピングはザ・パラマウンツのメンバーでもありました。1963年にパーロフォンからデビューしてシングルを出しますが、ヒットが出せずにいました。サンディー・ショーやクリス・アンドリュースのツアーのバックバンドを務めた後1966年に解散します。

パラマウンツ解散後ゲイリー・ブルッカーはプロデューサーのガイ・スティーヴンスの紹介で詩人のキース・リードと出会い、曲作りを始めます。その後マシュー・フィッシャーデヴィッド・ナイツ、他のメンバーも加わってプロコル・ハルムを発足、1967年に大ヒット曲「青い影」をリリースします。しかし、間もなくバンドは分裂によりメンバーチェンジして、ボビー・ハリソンレイ・ロイヤーが脱退します。そして旧知の仲だったロビン・トロワーB. J. ウィルソンが加入します。

続く2枚目のシングル「ホンバーグ」も大ヒットします。ゲイリーとマシューのクラシカルな2人キーボード体制に、ロビンのヘビーなギターというサウンドの対比で、プログレシヴ・ロックバンドとしての台頭を表しはじめます。

3枚目のアルバム『ソルティ・ドッグ』発売後、マシュー・フィッシャーとデヴィッド・ナイツが脱退し、旧知の仲のクリス・コッピングがベースとオルガン兼任で加入します。作詞専門のキース・リードがオルガンをやる、という話もあったそうですが、本人の技量不足の為実現しませんでした。ハードロック志向の強かったロビン・トロワーも、バンドと自身の目指す音楽の違いから脱退し、デイヴ・ボールが加入します。

そうしてメンバーチェンジを繰り返しながらも10枚のアルバムを出したプロコル・ハルムでしたが、全てをやりつくした、というゲイリーの判断で1977年に解散します。

1990年にドラマーのB. J. ウィルソンが肺炎で43歳の若さで亡くなった事がきっかけで、追悼の意を込めて再結成します。この時集まったのはゲイリー・ブルッカー、マシュー・フィッシャー、ロビン・トロワー、キース・リードの4人です。

再結成後間もなくロビンが脱退、続いてマシューも脱退しつつも精力的に活動を続けておりましたが、2022年2月19日、結成から唯一在籍していたメンバーにしてフロントマンでもあったゲイリー・ブルッカーが癌の為76歳で亡くなりました。今年の3月23日に、詩人のキース・リードも大腸癌で76歳で亡くなりました。これにより、バンドは活動を停止する事になりました。

歌詞だけみると謎の話に思いますが、この歌は14世紀にジェフリー・チョーサーによって書かれた短編集、カンタベリー物語の中の「粉屋の話」がヒントになっています。

早い話が寝取られ・不倫をテーマにした下世話な話です。

年老いた大工には若い妻が居て、大工の家に下宿していた若い書生がそのを寝取ろうと「ノアの洪水が来るから樽の中から出ないように」と年老いた大工を騙して樽の中に閉じ込めて情事に及びます。するとその若い妻を狙う別の男が出てきて、若い妻に口づけを迫ります。若い妻は口ではなく尻(おいおい)を差し出し、それに激怒したが高温に熱した鋤を、いたずらで尻を突き出していた若い書生の尻に突き差します。尻を火傷した若い書生が水をくれと大騒ぎします。騒ぎを聞いて、ノアの洪水が来たと勘違いした年老いた大工は、樽を吊るしてあるロープを切断しますが、当然洪水など来ている訳も無く、地面に激突して年老いた大工は大怪我を負ってしまう、という話です。

そして歌詞に出てくるウェスタの巫女ですが、ウェスタとはローマ神話に出てくる家族や暖炉を司る処女神です。ギリシャ神話のヘスティアと同一視される事もあります。

処女神ウェスタに仕える巫女たちは生涯処女でいる事が義務付けられており、これを破った者は生き埋めによる死刑がなされました。姦淫を咎められた巫女トゥッキアは、自身の貞節を証明する為にざるに乗せられ川に流された、とあります。

これが歌詞に出てくる「One of sixteen vestal virgins
Who were leaving for the coast」の意味なんですね。

浮気の事実を知った彼氏がその処遇に悩む、という歌です。

長くなりましたが、和訳です。

We skipped the light fandango

Turned cartwheels 'cross the floor

I was feeling kind of seasick

But the crowd called out for more

The room was humming harder

As the ceiling flew away

When we called out for another drink

The waiter brought a tray


俺たちは軽いステップでファンダンゴを踊って、

床の上を側転して行った。

俺は船酔いになった気分だった、

だが周りの連中は「もっとやってくれ」と言った。

部屋は活気に溢れかえって、

そして天井も吹っ飛んで行っちまった。

俺たちが酒をもう一杯頼むと、

ウェイターはトレイを持って来やがった。


And so it was that later

As the miller told his tale

That her face, at first just ghostly

Turned a whiter shade of pale


そしたらその後にさ、

粉屋のあの話みたいにさ。

彼女の顔がお化けみたいに生気を失って、

青ざめて行ったんだよ。


She said, "There is no reason

And the truth is plain to see"

But I wandered through my playing cards

And would not let her be

One of sixteen vestal virgins

Who were leaving for the coast

And although my eyes were open

They might just as well have been closed


彼女は言った、「理由なんてないわ。

真意は見ての通りよ。」と。

でも俺はどうしたものかと悩んでいた。

俺は彼女をあんな目に遭わせたくなかった、

罪を犯して島流しにされた、

16人のウェスタの巫女の1人が味わったような。

俺の目は開いていたけど、

閉じていた方が良かったのかもしれない。


And so it was that later

As the miller told his tale

That her face, at first just ghostly

Turned a whiter shade of pale


そしたらその後にさ、

粉屋のあの話みたいにさ。

彼女の顔がお化けみたいに生気を失って、

青ざめて行ったんだよ。


こんな感じです。

今日はこの辺でお時間です。洋楽和訳のリクエスト・感想ございましたらコメントくださいませ。

ではまた。

0 件のコメント:

コメントを投稿