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2023年1月8日日曜日

Joan Baez - Michael

こんばんは、古い音楽をお届けする音楽文章ラジオのお時間がやって参りました。進行は、名久井翔太です。どうぞよろしく。

早速、今日の洋楽和訳のコーナーです。

今日の洋楽

人名ソングその9の今日は、ジョーン・バエズでマイケルです。



ジョーン・バエズ作曲です。1979年のアルバム『オネスト・ララバイ』収録曲です。

運命に踊らされ続けた女が真の愛を見つけて咽び泣く、という歌、なんでしょうか。

曲の歌詞に注目すると、アメリカやイギリスのフォークソングのタイトルが多い事に気がつきます。

以下の通りです。

Foggy Dew = イースターの時期のアイルランド共和主義者達の武力蜂起を歌った歌
Mary Hamilton = 王妃のお世話係メアリー・ハミルトンが、赤ん坊を刺し殺して絞首刑になったスコットランド民謡
John Riley = ジョン・ライリーと婚約している女が男に言い寄られているが、実はその男がジョン・ライリーだったイギリス民謡
Geordie = 恋人が、ジョーディーという若い兵士の無事を祈るイギリスやアメリカに伝わる民謡
Michael row the boat ashore = 漕げよマイケルのタイトルでもお馴染みのアメリカのスピリチュアル。辛い仕事の日々の中でも、約束の地を夢見て生きていくんだ、という歌
Come all you fair and tender maiden = 心優しく器量良しの女性に、嘘をつく男には気をつけろ、というアメリカ・アパラチア地方の民謡
Pretty boy Floyd = ウディ・ガスリー作の警官を撃ち殺したフロイドという男の歌
Rake and rambling boy = 盗みを働いた男を歌ったアメリカ民謡
The butcher boy = Railroad boy = 恋人に見捨てられた女が自殺するアメリカ民謡
Silkie of Sule Skerry = スール・スケリー島の大アザラシ。陸上では人間に化けるアザラシが人間の女と結婚して産まれた子供を連れ去ろうとするスコットランド民謡
Bells of Rhymney = ピート・シーガー作の1926年に炭鉱労働者達が起こしたストライキを歌った歌。ザ・バーズでも「リムニーの鐘」のタイトルでお馴染み
House of the rising sun = 娼婦の館、もしくは少年院での辛い日々を唄い、俺やあたいみたいな事はするな、と呼びかけるアメリカ民謡
Wildwood flower = 邦題「森かげの花」、人間の男に恋をした花の気持ちを歌ったアメリカ民謡
Morning dew = 核により崩壊した世界の中で生き残った男女を歌ったボニー・ドブソン作のフォークソング
Barbara Allen = 愛する人が亡くなって、バーバラ・アレンという女性も後を追うスコットランド民謡
Three times round went our gallant ship = The Mermaid = 金曜日に出て行った船が、航海中に人魚を見た後嵐に巻き込まれて、恋人や家族を陸に残して船が沈んでしまった、という歌

こんな所です。上に挙げた歌がどんな歌なのかは気が向いたらやります。笑

日本でも知られているのは漕げよマイケル、朝日の昇る家、リムニーの鐘でしょうか。これだけの民謡のタイトルを歌詞に加えている辺り、フォーク出身のジョーン・バエズらしい歌だと思います。いわばトリビュートソングって言うんですか。

フォークソングのタイトルの所には斜め文字にしています。

では和訳です。

In the time spent in the foggy dew

With the raven and the dove

Barefoot she walked the winter streets

In search of her own true love


霧の中で過ごした、

カラスや鳩と一緒に。

彼女は裸足で冬の道を歩いて来た、

彼女の愛を探しながら。


For she was Mary Hamilton

And lover of John Riley

And the maid of constant sorrow

And the mother of the doomed Geordie


彼女はメアリー・ハミルトン、

そしてジョン・ライリーの恋人、

そして悲しみ続ける乙女、

そして運命のまま生きるジョーディーの母親。


One day by the banks of the river

Midst tears and gossamer

Sweet Michael rowed his boat ashore

And came to rescue her


ある日、川のほとりで、

涙と蜘蛛の巣の狭間で、

愛しいマイケルはボートを漕いで、

彼女を助けに行った。


And fill thee up my loving cup

Fast and to the brim

How many fair and tender maids

Could love as she could then?


さあ、私の愛する杯を早く満たして、

並々と注いで。

どれだけの心優しい少女達が、

彼女の様に愛せるのかしら。


For he was likened to Pretty Boy Floyd

And also John Riley

And a rake and rambling railroad boy

And the Silkie of the Sule Skerry


彼は可愛いフロイド少年に擬えられた、

ジョン・ライリーにも。

そして鉄道で旅する放蕩少年、

そしてスール・スケリー島の大アザラシにも。


And there in the arms of Michael

In their stolen hour

Loud rang the bells of Rhymney

From the ancient church bell tower


そしてそのマイケルの腕の中で、

取られていった時間の中で、

リムニーの鐘がけたたましく鳴った、

古の教会の鐘塔から。


And there in the night with Michael

While he lay fast asleep

She put her head to the window pane

And in the fullness of love did weep


そしてマイケルと過ごした夜、

彼は早く眠りについた。

彼女は窓ガラスにもたれかかって、

満ち足りた愛に咽び泣いた。


And fill thee up my loving cup

Fast and to the brim

How many fair and tender maids

Could love as she did then?


さあ、私の愛する杯を早く満たして、

並々と注いで。

どれだけの心優しい少女達が、

彼女の様に愛せるのかしら。


You've heard of the House of the Rising Sun

And what careless love can do

You've heard of the wildwood flower

That fades in the morning dew


朝日の昇る家の話を聞いたでしょう、

配慮無き愛が何をするのかも。

森影の花の話も聞いたでしょう、

朝露に消えて行く花を。


And of the ship that circles three times round

And sank beneath the sea

You've heard of Barbary Allen

And now you've heard of me


3回回った船の話も聞いたでしょう、

海の底に沈んでいった船を。

バーバラ・アレンの話の話も聞いたでしょう、

私の話も聞いたでしょう。


So fill thee up my loving cup

Fast and to the brim

How many fair and tender maids

Will ever love again?


さあ、私の愛する杯を早く満たして、

並々と注いで。

どれだけの心優しい少女達が、

彼女の様に愛せるのかしら。


こんな感じです。

今日はこの辺でお時間です。洋楽和訳のリクエスト・感想ございましたらコメントくださいませ。

ではまた。

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