こんばんは、古い音楽をお届けする音楽文章ラジオのお時間がやって参りました。進行は、名久井翔太です。どうぞよろしく。
今日は901回目の更新です。あっという間に1000回目を迎えてしまいます。
さて、今日3/21から10日後の3/30まで、お伝えしていた「Big Name特集」をお送りします。
今回は残念ながら10回分のアーティストを決めてしまいましたが、まだまだ紹介されていないBig Nameはいると思います。リクエストは随時受け付けておりますので、どしどしご応募、じゃなかった、コメントください。
では、洋楽和訳のコーナーです。
今日の洋楽
Big Name特集1回目の今日は、最近の私のお気に入りのアメリカ人のBig Name、ボブ・ディランで「くよくよするなよ」です。
ボブ・ディラン作曲です。1963年のシングル「風に吹かれて」のB面曲、また同年発売の『フリーウィーリン・ボブ・ディラン』収録曲です。ハインツやピーター・ポール&マリー、ボビー・ダーリンがカバーしました。
ボブ・ディランはご存知、アメリカが誇るシンガーソングライターです。ロバート・アレン・ジマーマンという名前で1941年5月24日、ミネソタ州ダルースで生まれました。祖父母はオデッサ(現ウクライナ)やリトアニアからの移民で、その影響で、シャブタイ・ツィメルマンというヘブライ語の名前もあります。
幼い頃にギターやピアノを習得したり、ハンク・ウィリアムスやマディ・ウォーターズ、レッドベリー、ビッグ・ジョー・ウィリアムズ、マンス・リップスコム等に影響を受けましたが、特に強く影響を受けたのがウディ・ガスリーというフォーク・シンガーでした。
1959年、まだ駆け出しだったボビー・ヴィーのバンドにエルストン・ガンという名前でピアニストとして加入し、数回ステージを経験します。この二人の交流は続き、特にディランはボビー・ヴィーの事を「弟のようだ」と発言しています。
1961年、大学を中退し、ニューヨークのクラブやコーヒーハウスで弾き語りをしていましたが、コロムビア・レコードのジョン・ハモンドにその才能を見出され、1962年にアルバム『ボブ・ディラン』でデビューしますが、思ったほど売れませんでした。
1963年に『フリーウィーリン〜』の中の曲「風に吹かれて」がPP&Mにカバーされ、大注目を受けました。アフリカ系アメリカ人が公民権の適用と人種差別の撤廃を求めた公民権運動に世間が注目する中、色々な社会問題に疑問を投げかけた「風に吹かれて」を歌ったボブ・ディランは「フォークの貴公子」として人気が高まります。
「フォークの貴公子」だったボブ・ディランはビートルズやローリング・ストーンズとの交流や、ブリティッシュ・インヴェイジョンの影響がきっかけで、1965年の『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』、『追憶のハイウェイ61』、翌年の『ブロンド・オン・ブロンド』では、エレキギターを取り入れたアルバムを発表します。特にシングルでは「ライク・ア・ローリング・ストーン」が大ヒットして、世界にその名を轟かせる事になります。
ステージでエレキギターを持つと、従来のフォークファンからは大きなブーイングを受ける事になりました。1966年のツアーでは、観客からは「裏切り者」呼ばわりされ、「お前ら何か信じない。お前らは嘘つきだ!」と言った後、「大音量で演ろうぜ」と言い、「ライク〜」を演奏している、というエピソードがあります。
人気の絶頂を迎えていた1966年に、バイク事故で大怪我を負い、ツアーなどの予定を全部キャンセルせざるを得ない状況になりました。当の本人は、ツアーやドラッグに疲れ、家族以外の事に興味を持てなくなっていたため、しばらく隠遁します。が、世間ではボブ・ディラン死亡説が流れてしまいます。
翌年には後のザ・バンドになるザ・ホークスと一緒にデモテープ作製に取り掛かります。これがきっかけで、ザ・バンドの解散コンサート「ザ・ラスト・ワルツ」にも参加します。
1971年には、兼ねてから交流があったジョージ・ハリスン主催の「バングラデシュ・コンサート」に参加します。
1974年には、ザ・バンドと組んで発表したアルバム『プラネット・ウェイヴス』がボブ・ディラン初のビルボード1位を記録します。また、ザ・バンドと共演してライブを行います。この模様はライブ・アルバム『偉大なる復活』に収録されています。
1975年10月から12月、翌1976年4月から5月にかけて、アメリカ建国200年を記念したツアー『ローリング・サンダー・レヴュー』を行います。この模様はアルバム『激しい雨』やテレビで放送されます。
1979年には、クリスチャンの洗礼を受けた事を発表し、その年に発売されたシングル「ガッタ・サーヴ・サムバディ」はディラン最後のトップ40のヒットを出します。同年発売のアルバム『スロー・トレイン・カミング』から1981年のアルバム『ショック・オブ・ラヴ』はゴスペル系の音楽を演奏していますが、従来のボブ・ディランのファンからはブーイングを受け、コンサートの動員も思うようにいかず、徐々にゴスペルからの脱却を図ります。
1985年には「USA・フォー・アフリカ」に参加し、「ウィー・アー・ザ・ワールド」の録音に参加します。また1988年には、ロイ・オービソン、ジョージ・ハリスン、ジェフ・リン、トム・ペティと一緒に覆面バンド「トラヴェリング・ウィルベリーズ」に参加し、アルバムを発表しますが、ロイ・オービソンがその年に心臓発作で死去し、その後釜として「悲しき街角」のデル・シャノンが参加する噂が流れましたが、1990年にデル・シャノンも猟銃自殺をしてしまうため、2枚目のアルバムを残った4人で発表した後、このバンドは自然消滅してしまいます。
1991年にはグラミー賞障害功労賞を受賞します。1997年に心臓発作で倒れ、危篤状態になるものの快癒し、再び活動を行います。
2008年にはピューリッツァー賞特別賞を受賞し、また2016年にはミュージシャン初のノーベル文学賞を受賞します。後者は大々的に報道され、日本でも大きな話題になりました。
そして現在も活動を続けています。
「くよくよするなよ」はアコースティックギターとハーモニカのみというボブ・ディラン初期のスタイルで演奏されています。
長くなりましたが、「くよくよするなよ」の和訳をご覧ください。
Well, it ain't no use to sit and wonder why, babe
Even you don't know by now
And it ain't no use to sit and wonder why, babe
It'll never do somehow
座って疑問に思っても意味無いぜ、
今分かんなくても。
そうさ、座って疑問に思っても意味無いぜ。
そんなの何の役にも立たないぜ。
When your rooster crows at the break of dawn
Look out your window, and I'll be gone
You're the reason I'm a-traveling on
But don't think twice, it's all right.
君の雄鶏が夜明けを告げたんなら、
窓を見てみなよ、俺はもういないから。
俺が旅してるのは、君が理由なんだぜ。
でも深く考えるなよ、大丈夫だから。
And it ain't no use in turning on your light, babe
The light I never knowed
And it ain't no use in turning on your light, babe
I'm on the dark side of the road
君の明かりを点けても意味ないぜ。
そんなの俺は知らなかったから。
君の明かりを点けても意味無いぜ。
暗い道を歩いているから。
But I wish there was somethin' you would do or say
To try and make me change my mind and stay
But we never did too much talking anyway
But don't think twice, it's all right.
俺の気持ちを変えて、俺がここに留まるように、
君が何かしたり言ってくれればいいのにと思った。
でも俺たちはそんなに言葉を交わさなかった、
でも深く考えるなよ、大丈夫だから。
So it ain't no use in calling out my name, gal
Like you never done before
And it ain't no use in calling out my name, gal
I can't hear you any more
俺の名前を呼んでも意味無いぜ、
昔やってたみたいに。
俺の名前を呼んでも意味無いぜ、
君の声はもう聞こえないから。
I'm a-thinking and a-wonderin' walking down the road
I once loved a woman, a child I am told
I gave her my heart but she wanted my soul
But don't think twice, it's all right.
この道を考え、疑問に思いながら歩いてる。
俺は女を愛したが、俺は子供だと言われた。
俺は彼女に心をあげたが、彼女は俺の魂が欲しかった。
でも深く考えるなよ、大丈夫だから。
So long honey, baby
Where I'm bound, I can't tell
Goodbye's too good a word, babe
So I'll just say fare thee well
じゃあな、ベイビー。
どこに行くのかは教えられないぜ。
さよならなんて言葉は綺麗すぎる。
だから言うぜ、「元気でな」って。
I ain't a-saying you treated me unkind
You could have done better but I don't mind
You just kinda wasted my precious time
But don't think twice, it's all right.
君が俺にひどくしたとは言わないぜ。
もっと上手くやれた、でももう良いぜ。
俺の貴重な時間が無駄になっただけだ、
でも深く考えるなよ、大丈夫だから。
こんな感じです。
男女の別離を歌った歌です。心配しないで元気にやれよ、とカッコよく別れを告げています。
今日はこの辺でお時間です。しばらくBig Name特集が続きますが、リクエスト受け付けております。
ではまた。
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