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2019年5月17日金曜日

Bob Dylan - The lonesome death of Hattie Carroll

こんばんは、古い音楽をお届けする音楽文章ラジオのお時間がやって参りました。進行は、名久井翔太です。どうぞよろしく。

早速、洋楽和訳のコーナーです。
今日の洋楽

今日はボブ・ディランで「ハッティ・キャロルの寂しい死」です。



ボブ・ディラン作曲です。1964年のアルバム『時代は変わる』収録曲です。

実際の事件を元にしたプロテスト・ソングです。プロテスト・ソングとは、政治や貧困、戦争などに対して抗議のメッセージを込めた歌の事です。

1963年にメリーランド州のボルティモアのホテルで、当時24歳の若者、ウィリアム・ザンジンガーが、そこのホテルの裏方のメイドのハッティ・キャロルを杖で殴りつけ死亡させた、という事件がありました。

ウィリアムの暴行を見ていた多数の男女はそれを止める事をしませんでした。それは、ウィリアムが白人、ハッティが黒人だったからです。

ハッティが皿を下げようとテーブルに来た所、ウィリアムの頼んだ飲み物が出てくるのが遅いという理由で、杖が3つになるほど強く殴りつけたそうです。

直ちに逮捕されましたが、ウィリアムの父はメリーランド州の有力者で、あらゆるコネを使い、息子を釈放させます。

第一級殺人の罪で裁判が行われますが、その判決は6ヶ月の禁固刑でした。人を殺して6ヶ月ですよ。Wikipediaで調べたら、大体死刑になるか、5年以上の懲役が課されるそうです。

そしてウィリアムは所有していたタバコ畑が収穫の時期で忙しいと裁判所に申し立て、その刑は取り下げられたそうです。

ボブ・ディランはそうした事件を元に、たった1日の内にこの歌を書き上げ、録音しました。この歌はそんな社会のシステムや、暴行が加えられているのに止めようとしなかった人々に対して「こんなのおかしい」と怒りを込めた歌になっています。

この歌以外にもプロテストソングは何曲かあり、ボブ・ディランはいつしか「プロテスト・ソングの貴公子」と呼ばれる事になりますが、後にケネディ大統領が暗殺されるのをキッカケにプロテスト・ソングを作るのをやめ、アコギからエレキに持ち替える事になる…のは別の話。

では和訳です。

William Zanzinger killed poor Hattie Carroll

With a cane that he twirled around his diamond ring finger

At a Baltimore hotel society gath'rin'

And the cops were called in and his weapon took from him

As they rode him in custody down to the station

And booked William Zanzinger for first-degree murder

But you who philosophize disgrace and criticize all fears

Take the rag away from your face

Now ain't the time for your tears.


ウィリアム・ザンジンガーは貧しいハッティ・キャロルを殺した、

ダイヤの指輪をはめて、杖を振り回して。

バルティモアのホテルに人々が集まった、

警官が呼ばれて、ウィリアムから武器を取った。

警察署まで連行して、

ウィリアムを第一級殺人の罪で起訴した。

だけど、恥辱を哲学的思考で説いたり、恐怖を批判するあんたら、

その顔から布切れを取れよ、

今は泣く時じゃ無いだろ。


William Zanzinger who at twenty-four years

Owns a tobacco farm of six hundred acres

With rich wealthy parents who provide and protect him

And high office relations in the politics of Maryland

Reacted to his deed with a shrug of his shoulders

And swear words and sneering and his tongue it was snarling

In a matter of minutes on bail was out walking

But you who philosophize disgrace and criticize all fears

Take the rag away from your face

Now ain't the time for your tears.


24歳のウィリアム・ザンジンガーは、

600エーカーのタバコの農場を所有していた。

金持ちの両親がそいつを庇護して、そいつに農場を与える。

メリーランドの政界と関係が深く、

そいつらはそいつの行動に肩をすぼめるだけだった。

そして罵り嘲笑い、舌を出し、文句を言い、

ほんの数分でそいつは保釈された。

だけど、恥辱を哲学的思考で説いたり、恐怖を批判するあんたら、

その顔から布切れを取れよ、

今は泣く時じゃ無いだろ。


Hattie Carroll was a maid in the kitchen

She was fifty-one years old and gave birth to ten children

Who carried the dishes and took out the garbage

And never sat once at the head of the table

And didn't even talk to the people at the table

Who just cleaned up all the food from the table

And emptied the ashtrays on a whole other level

Got killed by a blow, lay slain by a cane

That sailed through the air and came down through the room

Doomed and determined to destroy all the gentle

And she never done nothing to William Zanzinger

And you who philosophize disgrace and criticize all fears

Take the rag away from your face

Now ain't the time for your tears.


ハッティ・キャロルはキッチンのメイド、

51歳にして10人の子供を産んだ。

皿を運びゴミを外に出し、

そこのテーブルにさえ一回たりとも座る事がない。

テーブルにいる人に会話する事も無く、

ただ食事の終わった皿を片付け、

いっぱいになった灰皿を綺麗にした。

撲殺され、床に伏せて死んだ。

風を切り裂き、部屋を通過して投げられた杖で殺された。

死ぬ運命にあり、優しさは全て壊された。

ハッティ・キャロルはウィリアム・ザンジンガーに何も悪い事はしていないのに。

だけど、恥辱を哲学的思考で説いたり、恐怖を批判するあんたら、

その顔から布切れを取れよ、

今は泣く時じゃ無いだろ。


In the courtroom of honor, the judge pounded his gavel

To show that all's equal and that the courts are on the level

And that the strings in the books ain't pulled and persuaded

And that even the nobles get properly handled

Once that the cops have chased after and caught 'em

And that ladder of law has no top and no bottom

Stared at the person who killed for no reason

Who just happened to be feelin' that way witout warnin'

And he spoke through his cloak, most deep and distinguished

And handed out strongly, for penalty and repentance

William Zanzinger with a six-month sentence

Oh, but you who philosophize disgrace and criticize all fears

Bury the rag deep in your face

For now's the time for your tears.


法廷で、裁判長が小槌を叩いた。

法の下に全ては平等で、法廷は公明正大であると証明した。

法典の紐が引っ張られたり、曲げられたりされる事なく、

そして高貴な身分の者も一度指名手配され、

警察に追われる身となり、逮捕される。

法律のはしごが逆さまにされる事なく、

何の理由もなく人を殺め、

何の警告もなく人を咎めた犯人に対し、

判事はその由緒正しきコートに身を通し、威厳を持ってはっきりと言い渡した。

罪と悔い改めるさせる為に、

ウィリアム・ザンジンガーに6ヶ月の刑が処された。

だけど、恥辱を哲学的思考で説いたり、恐怖を批判するあんたら、

その顔から布切れを取れよ、

今が泣く時だ。


こんな感じです。


今日はこの辺でお時間です。洋楽和訳のリクエスト・感想ございましたらコメントくださいませ。


ではまた。

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